幼児にも高齢者にも対応できるスキル

幼老複合施設には、幼児と要介護の高齢者がいて、同一施設内で介護と保育が行われています。そのため、同じ空間で同じ時間を過ごす交流の場として期待されています。高齢者だけを対象とした介護施設ならば、施設職員は介護の技術があれば足りますし、幼児だけを対象とする保育所なら、職員は保育のスキルだけ備えていれば十分でしょう。しかし、幼老複合施設に勤める職員は、高齢者に対する介護の技術と幼児に対する保育のスキルの両方を求められることになります。

もちろん、高齢者と幼児のケアを行う職員全員が、介護福祉士や保育士など介護と保育の両方の資格を有する必要はありません。介護のスキルを持つスタッフは、保育についてある程度の知識を身につけることが必要となり、保育の有資格者も一定の介護技術を会得することが求められるのです。例えば介護職員であったとしても、幼児の成長段階を理解し健康管理や年齢によって臨機応変に幼児との接し方を変える必要があります。また、幼児の年齢に応じた遊びや工作など、楽しい過ごし方を指導するスキルも必要です。

保育士は、介護職員の身体介護をサポートしたり、高齢者との会話に応じたりすることも重要な業務となります。介護の資格が必要な身体介護以外の介護業務であれば、保育士も単独で携わることができます。高齢者の衣類の洗濯など生活介護と呼ばれる分野なら保育士も関われるのです。このように、幼老複合施設の職員は、異世代の利用者に対して柔軟な対応が可能なコミュニケーション能力を身につけることも大切な仕事になるのです。