幼老複合施設は、高齢者が利用する介護施設と保育園や学童保育施設の機能を併せ持つものです。増え続ける要介護の高齢者と待機児童の問題が生じる中、福祉予算の膨張をくい止めるための苦肉の策でもあると言えるでしょう。幼老複合施設では、高齢者と幼児の交流により施設の活性化や高齢者の認知症予防に役立つとされています。高齢者が幼児の相手をしたり、幼児が高齢者のサポートをしたりして、幼老複合施設に勤める職員の仕事量も減るのではないかと期待されてきました。
さらに、育児中の親であっても我が子を職場に預けて勤務できるため、潜在介護職員の復職を促す作用もあると言われています。しかし、実際には幼老複合施設の介護職員の仕事は、高齢者と幼児の両方のケアに追われ過剰な負担が生じているケースも少なくありません。幼老複合施設を作ったとしても、何もせずに高齢者と幼児の相互扶助が行われることはないでしょう。高齢者と幼児が上手く共存するには、介護職員からの働きかけが必要なのです。
介護職員は高齢者と幼児が交流できる企画を考えて実行しなければなりません。また、静かに過ごしたい高齢者からは、元気な幼児たちの活発な行動が迷惑だというクレームが寄せられることもあります。元々、高齢者施設では高齢者同士のトラブルや介護職員との軋轢について仲裁を行うことは珍しくありませんが、これに加えて幼老複合施設では高齢者と幼児のトラブルも生じるおそれがあるのです。年齢差の大きい利用者がいる幼老複合施設に勤める介護職員の仕事には、こうしたトラブルを解決しつつ、活性化を促進する技能が求められると言えるでしょう。